イギリス大学院 開発学 留学日記 @Manchester

2008年9月よりイギリス、マンチェスター大学院に留学しています。 この日記が、いつか誰かの道しるべになることを♪

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ラパス水道事業民営化が失敗した理由

前回に引き続き、セメスター1で必死で書いたエッセイのまとめです。
水道民営化の評価のため、ボリビアの首都ラパスの水道事業民営化をケーススタディとして取り上げました。
ラパスの場合、水道事業が1997年に民営化された後、2007年に再度公営化されています。
当初、貧困層への配慮をうたった(Pro-poor)事業運営手法をとっていたのにも関わらず、結局は民営化が失敗に終わった事例であり、失敗理由を研究しました。


結論として、民営化での運営がうまくいかなかった理由は、「住民参加等の管理手法、及び規制方法が下手だった」ということでまとめました。
今まで各専門家が挙げた主要な理由は「水道料金が高く、住民負担が大きすぎる」という分析が多かったのだけど、他国と比較した場合(ペルー、パラグアイ等)、水道料金は受容範囲内であると判断しました。

実際はエヴォ・モラレス新大統領の政治的な決定も大きいらしいのですが、新しい事例でありこれも調べるのは楽しかったです。

以下、簡単にメモを。

-----------------------

1997年 世銀の監督のもと30年のコンセッション契約で民営化
AISA社が契約し仏社スエズが主要株主、最終入札社は1社のみ
住民側代表は契約に同席せず、同時期に規制機関SISAB(regulator)発足

2000年 コチャバンバ水戦争が発生し、水道公社が再公営化
2002年 料金設定の変更予定年だったが、コチャバンバの影響で決定延期
2003年 1年遅れで料金値上げが10%に決定(AISA側の希望値は22%)
2007年 国が債務を支払い再公営化


AISAは「Pro Poor手法」を使い、貧困救済に配慮した運営を目指したのだけど、その内容を簡潔に。
1.新規給水エリアの最低値を設定、貧困層の多いエルアルト地区への投資を推奨
2.Block Tariff System(居住地や使用量で料金単価を帰る手法)の採用
3.マイクロクレジットと労務奉仕で初期接続料を抑える


民営化してから5年ほどは給水エリアも増加し、良い影響がありました。
しかし、規制機関の働きと契約時の内容が未熟であり、このPro-poor手法が十分に機能しなかったのが事実のようです。
このため、AISA社は住民の満足度より利益重視の姿勢が強まり、住民不満も高まった。

分析の結果、私の提案としては以下
1.決定時に住民参加を促す
2.規制と詳細が配慮された契約の締結
3.企業形態でもProfitを求めないNot For Profit企業の導入検討→財務費用縮小


まあ失敗案件を持ってきて、粗捜しをしているわけで、いくつか理由を挙げることは難しくありません。
それと、当たり前ですが特に目新しい分析はできてません。

勉強になったのは、英語文献で探せば、こういったメジャーではない内容でも多くの文献が見つかることです。実施、日本語で探しても新しいのはほとんど無い状態でした。
それと、スペイン語でボリビア政府などからの元データを探してみたのですが、これはあまり見つかりませんでした。こっちは言語の問題ではなく、途上国で情報公開が進んでないのが問題かな。

ちなみに、上のデータは不正確である可能性があります(各種論文から抽出)。
それと、コメント、質問などあれば、分かる範囲でお答えします。
読んでいただいたことに感謝 

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コメント


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おもしろいですね。以下、質問というかコメントです。

①住民参加をご提案とのことですが、住民参加と一言で言ってもレベルはさまざま!
(例えば、アーンスタインの8段はしご、など)
どこまで参加するイメージでしょうか?

②Block Tariff、もう少し詳しくお願いします!
使用量が多いと単価が安くなるの?日本は大口は安いからこっちのケースだと思うけど、貧困救済だとするともしかして逆?
あと居住地で単価がちがうって基準は何?!

あまる | URL | 2009年02月08日(Sun)15:41 [EDIT]


おもしろいですね

ごぶさたです!面白い勉強してるね。

ほんと、欲しいと思うようなデータや論文は、この分野に限らず英語で検索するとだいたい手に入りますよね。
あとは解釈や組み合わせだね。
がんばってください!

SATOSHI | URL | 2009年02月08日(Sun)15:49 [EDIT]


>あまる コメントありがとう。
①ボリビアの水民営化反対は、住民の作ったNGOが非常に重要な役割をしたそうです。こういった組織を認めて、はじめから議論への参加と情報公開をすることが重要かと・・・。
正直、細かいこと全然わかりません。8段はしご???

②日本も使用量が多いほうが単価が上がり、節約を促します。日本では工場などの経費削減のため、逆に企業自体が地下水など代替水源開発をしている場合があるらしく、それだと水道公社の収入が減るので、逆効果→システムの見直しが課題となってます。
居住地は、貧しい地域の単価を下げるという提案。

>SATOSHI
ほんとご無沙汰。
そういえば、職場合併だっけ?
また帰国後情報交換を!
お互い頑張りましょう。

trans | URL | 2009年02月08日(Sun)15:58 [EDIT]



>住民の作ったNGOが非常に重要な役割をしたそうです。
それはすごい。はしごの4段目、5段目くらいかな。

住民参加は、住民の関与の度合いや役割によって、いろいろな分類があると思います。
なかでもよく引用されるのがこれ。Arnstein, S.R., "A Ladder of Citizen Participation," 1969

1.Manipulation、2.Therapy、3.Informing、4.Consultation、5.Placation、6.Partnership、7.Delegated Power、8.Citizen Control、の8段階のうち、12は参加していない状態(Nonparticipation)、345は形だけ(Tokenism)、6からが本格的な参加(Citizen Power)、とされています。

②なるほど。たしか電力は大口が割安と聞いたことがあるけど…水はちがうんですね。エコだv-22
 

あまる | URL | 2009年02月09日(Mon)14:16 [EDIT]


イギリスの水道事情って

はじめまして
最近、FLOWという映画を見ました。(東京MXTVで放送中の、未公開映画を見るという番組で)

世界水会議や、世銀の陰謀? 世界中で起きている水戦争についてでしたが、世銀もやり玉にあげる所が、アメリカ映画。痛快だったとともに、ショックな内容でした。

番組中、言っていたのは、イギリスは水道事業も民営化した、テムズウオーターという会社に水道事業をまかせたが、これはドイツの会社だったので、イギリス人が困ろうと全然構わず、収益第一。水圧を下げて、漏水対策をしたため3階以上では水がでなくなり、下水処理場も2個つぶしてしまったので処理しきれない汚水があふれて流れ出した、と言っていました。

イギリスは金融の空洞化、インフラもと大変ですね。不思議と日本では、どれ程イギリスが斜陽の道をたどってるか余り詳しいニュースを聞きませんが。
で、もっと詳しい情報があればと、思って検索してました。きっと、イギリスの新聞を検索すればもっと詳しく出てるのですかね。

楽しく拝見しました

ringo | URL | 2009年11月13日(Fri)14:01 [EDIT]


Re: イギリスの水道事情って

ringoさん

コメントありがとうございます。
ぜひその番組、見てみたいです。

> 番組中、言っていたのは、イギリスは水道事業も民営化した、テムズウオーターという会社に水道事業をまかせたが、これはドイツの会社だったので、イギリス人が困ろうと全然構わず、収益第一。水圧を下げて、漏水対策をしたため3階以上では水がでなくなり、下水処理場も2個つぶしてしまったので処理しきれない汚水があふれて流れ出した、と言っていました。

テムズウォーターは、確か途中からドイツ系資本の会社になったのだと思います。(要確認ですが・・・)
イギリスは全部で水道の民間会社が10社あるのだけど、色々と同様が批判はされています。

日本では民間運営が公共事業より優れているという考えが未だ強いので、それに対する問題提起としてはすばらしいことですね。

ただ、それが公営だったら必ず起こらないとは言えないですし、多少無理をしても費用が抑えられれば、それの方が良いと考える人も居るわけで、評価は難しいと思ってます。
そういった問題が、運営の問題から起こっているのか、技術的な問題なのかってのも分けて判断しないといけないですが、大体民間会社だからという理由で批判されることも多いですしね。

また何かあれば、コメントよろしくお願いします。

Trans | URL | 2009年11月15日(Sun)15:52 [EDIT]


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