イギリス大学院 開発学 留学日記 @Manchester

2008年9月よりイギリス、マンチェスター大学院に留学しています。 この日記が、いつか誰かの道しるべになることを♪

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イギリスの水道事情

セメスター1の試験期間が終わり、今週から授業が始まりました。
また学生らしい生活が始まります。

セメスター1でいくつか必死でエッセイを書いたのだけど、下調べでイギリスの水道事情を調べ、驚かされたことが多かったのでまとめてみました。
一般的な話じゃないので、関係無い方は飛ばし読みで。

・イギリスの水道事情って、途上国並?(メーター設置率、漏水率)
・イギリスの水道事業民営化は失敗だった?

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・イギリスの水道事情って、途上国並?

①メーター設置率 日本:限りなく100%、イギリス:67%
②漏水率     日本:9%(10年ほど前)、イギリス:25%(※データ確認中)

出展:OFWAT、イギリスの上下水道事業の規制機関(regulator)

いや、驚いたでしょ って何のことか分からんかな・・・

まず、①はイギリスでは水道メーター設置されていない家が1/3あって、それらは定額料金で費用が徴収されています。この割合は途上国レベルと言えるね。水の無駄遣いにもつながるので、正直理由が分かりません・・・
水道会社の収益も、この定額費用で大きく左右されます。

それと、②は処理した水のうち、1/4が配管の亀裂などから漏れて、無駄に無くなっているという事実。これは理由がはっきりしていて、「ロンドンではビクトリア時代の配管が使われている」という噂もあるほどで、配管の入れ替えが進められてないらしい。
まあ9%以下という日本の現状が、世界標準と比べて優れているのかもしれないけど。


・イギリスの水道事業民営化は失敗だった?

それと、良く知られていることですが、イギリスの水道事業は1989年、サッチャー首相時代に民営化されています。
私の渡英前の知識だと、水道の民営化は成功しているという話だったのだけど、料金が高いことと、過去に渇水が発生していることもあり、住民の満足度は高くないようです。
水道料金の12%が、株主の配当や高いローン利率に消えているというデータもあり、民間企業の資金調達では、財務費用が高くつくようです。

民営化の主要な利点の1つは、「他社との競争を促すことで効率性を向上させる」というもの。
ただ、水道や鉄道など資本投資が大きい産業は競合他社の参入ができないため、競争原理が働きません。(Natural Monopolyと呼ぶ)
このため、公営→民営のみで単純に効率が向上するわけでなく、資金調達コストの増加や、利益重視の事業運営は、サービスの低下に帰結することもある。

・Welsh Water の取り組み
こういった批判もあって、民営化された全10社のうち、Welsh waterのみが2001年にNot For Profit企業(NPOに似て配当を払わない企業)に転換されていることを知りました。
<公営→民営→NFP企業> この流れは、失敗に終わったイギリスの電車事業(Network Rail)と一緒です。

学術的に、「唯一NFP化されたこの会社を、他の9社と比べるのは面白いかな」と思い調べてみました。OFWATが毎年発表しているOverall Performance Assessment が概要比較の参考としました。
結論として、NFP化されて9年経ち、配当支払いが無くなった事による多少の財務費用縮小は見られる(水道料金の3%程度)。
ただ、それ以外の成果向上は見られない(上記のPerformanceデータは他社と比べて悪化)。
という結果になりました。

結果的に、「公営」→「民営」→「NFP企業」と変換し、事業の効率性はどれが一番高いのかというと、最初の公営企業である可能性もあるわけです。(ブログではかなり内容を端折ってますが・・・)

イギリスで水道民営化が失敗だという結果が出れば、今まで途上国に強制してきた民営化や、日本で進められているPFIの将来性にも影響が出るので、重要な問題です。
まだまだ勉強が必要ですが、面白いトピックでした。

今回、学術的に書いてみましたが、認識不足の点もあります。
お褒め!、質問、反対意見などあればコメントお待ちしてます。

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ヨーロッパの水道

初めてコメントします。人気ブログのリストを眺めていて、目にとまりました。

かなり前、フランスの水道管の漏れ検出装置の開発プロジェクトに少し絡んだことがありますが、そのとき、ぼくもこの漏水率が深刻な話であることを知りました。これ、英国も同じだったのですね。なかなか興味深い話です。

anzai | URL | 2009年02月06日(Fri)15:55 [EDIT]


>anzaiさま

コメントありがとうございます。

仕事で途上国は色々見ているのですが、ヨーロッパの現状を知らなかったので今回勉強になりました。
漏水率、適切な目標値設定ってのは意外と難しそうですね。
投資費用と比較すれば、日本ほど高めなくて良いという結果すら出るかもしれません。

また何かあれば情報交換お願いします。

trans | URL | 2009年02月08日(Sun)11:16 [EDIT]


ぼくはミラノに住んでいますが、水道代がいくらか知りません。アパートの居住面積割で一括して管理費で計算するので、水道代という数字が個々には出てきません。

英国の3分の1のように、ガス代、電気代のようにメーター計算していません。これ、水道消費量と関係するのでしょうか・・・日本人のように、風呂やシャワーで沢山水を使わないと、管理費用が無駄とか・・・。

因みに、漏水率の件、これはスイスでも問題としていました。

anzai | URL | 2009年02月08日(Sun)16:03 [EDIT]


>anzaiさま
ミラノ、一回行ってみたいです。
メーターで管理しないということは、各個人へ資源節約の院センティブを与えないということになります。
暖房つけっぱなしでも、庭で水を出しっぱなしでも特に料金が変わらなければ、皆無駄遣いする場合が多いですよね。
イギリスの水道料金はメーターが無い場合、各戸の資産価値で決めて徴収しているようです。

trans | URL | 2009年02月08日(Sun)16:23 [EDIT]


サッチャー政権下では、小さな政府を目指して、まず民営化できるものは民営化、できないものもPFI導入を推進、と理解していますが…あってる?

それで疑問なのは、なんで水道は民営化だったのでしょう?
競争性が確保しにくいことも、料金が高くなることも、想定できなかったのかな??もしわかったら教えてください。

なお鉄道に触れられているのでちょっと補足すると、鉄道の場合、大都市圏を除いて、利用者減少→運賃増加→さらに利用者減少、という悪循環の末に廃止、という流れが止まりません。
自動車など他にも手段があるところが、水道とはちがうのかなと思います。
 

あまる | URL | 2009年02月09日(Mon)16:07 [EDIT]


>それで疑問なのは、なんで水道は民営化だったのでしょう?
>競争性が確保しにくいことも、料金が高くなることも、想定できなかったのかな??もしわかったら教えてください。

料金は一応Price Cap制で上限があるんだけど(Regulatorの決定事項)、金額の大きい長期投資を抑えたりする弊害がでてるらしい。
競争性は規制方法(成果の会社比較等?)で管理するつもりだったらしいけど、高資本産業で競争性の確保は難しいよね。

それと、JRの民営化も調べたんだけど、結局初期投資額というのは、最終的に税金で償却されたとのこと。日本はイギリスに比べて1人あたり乗車距離が4倍もある(地形的・人口分布的に有利)のだけど、投資資金+運転・補修費はまかなえないと言う結論のようでした。

trans | URL | 2009年02月10日(Tue)08:57 [EDIT]


なるほど!ちゃんと手当ては用意されていたんですね。

競争性が確保できないことは、高資本であることに加えて、耐用年数が長いことが大きいのではないかな?
日本では国鉄も、それから道路公団も、民営化の際に資産部分は何らかの公的な措置が講じられています。

要は、全体として一番効率的になるためには民間にどこまで委ねるのがよいか?!公営、民営、NFP、PFI、…いろいろあるけど、どれになったとしても、効率化のインセンティブがちゃんと組み込まれていることが大事なのだと思います。

どこでも試行錯誤の繰り返しだねv-15

あまる | URL | 2009年02月10日(Tue)12:26 [EDIT]


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| | 2011年04月03日(Sun)15:22 [EDIT]


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