イギリス大学院 開発学 留学日記 @Manchester

2008年9月よりイギリス、マンチェスター大学院に留学しています。 この日記が、いつか誰かの道しるべになることを♪

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修士論文の結論:ラパス市水道事業民営化失敗の原因は?

生活がようやく落ち着いて来て、9月にばたばたと提出した修士論文の見直しをしています。
私の修士論文の研究事項は、10年間ほど運営されたラパス上下水道の民間会社運営が、公営機関と比べて効率的だったかを検討することでした。(→過去記事)

その結果は以下です・・・ (長いので注意)
1.民間運営でも公営運営と比較して、サービス自体は向上していない。
2.民間運営は公営運営と比較し、水道料金の8%程度が追加財務費用として支出されている。
3.現在発生している問題の根本は、水道料金設定過少による投資額不足である。

詳細はこちらを↓

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過去、経済の専門家が分析した論文はありましたが、私はこれら財務・組織情報に追加して、技術者としての技術的知識を利用した分析をしたいと考えていました。
その分析手法としては、ラパス市の民間運営におけるサービス指標、財務データ推移の時系列評価(10年分)と、国内外都市との各種データ比較を行いました。

サービス指標というのは、PI(Performance Index)とも呼ばれ、日本の水道事業でもアカウンタビリティ向上と管理効率UPのために使用されているものです。(→PI概要)
7月に20日間ほどでヒアリング、データ収集を実施したところ、ボリビアでは監査局へのデータ提出が義務化されており、想定していたよりも信頼度のあるデータが得られ、嬉しく思いました。分析した結果としては、以下の結論が出ました。

1.民間運営でも公営運営と比較して、サービス自体は向上していない。
(10年間で接続数・人口は+50%だが、合計送水量は変わらない→1人当り使用量減)

2.財務的には、民間運営は公営運営と比較し、水道料金の8%程度が追加財務費用として支出されている。
(具体的な追加支出項目はコンサル費用、高めの債務利子、政府への税金支払など。民営化で従業員の減少は見られるが、給料が安いため財務面での影響は少ない)

従って、その追加費用(8%分)以上の明確な成果向上が見込まれない場合、民間運営する必要性は小さい。

3.現在発生している問題の根本は、水道料金設定過少による投資額不足である。
この問題に関しては、運営体制の差(民営/公営)は影響しておらず、運営体制の理論とは分けて判断する必要がある。根本的な解決には、料金UP又は政府補助金での解決が必要である。
ボリビアでは料金UPへの反対が強く、難しい部分ではありますが・・・

上記の内容は、水道事業の全体像を理解していなけば分析できない内容なので、自身の経験・知識を活かすことができたため、満足しています。
もうちょっと英語の直しを入れ、お世話になった方々に送る予定です。

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イギリスでも、最近になって80~90年代に行われた急激な民営化の見直しが行われれています。
日本では地方の財務不足などにより、民営化やPFIなどが無条件で歓迎されているようですが、事前に詳しく検討することが必要になるでしょう。
時代のトピックにも合致したものに成りました。

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